

古屋湖都美 | キャンバスノッツふいに
このたびTHE POOLでは、2025年6月10日(火)から21日(土)まで、古屋湖都美の個展「キャンバスノッツ ふいに」を開催いたします。
本展では美術批評家の飯盛希をゲストキュレーターに迎え、古屋の制作に通底する〈手をとおした思考〉の動きに光をあてます。
古屋は、布という素材に繰り返し立ち返りながら、既製のかたちへの介入や結び目の生成を通して、知覚や記憶の地層を掘り起こしていきます。そこにあるのは、触れることで立ち上がる関係性──可視と不可視のあわいにある、揺らぎを孕んだ構造体です。
目の前にあるものにふと触れる。ほどく、たぐる、結ぶ。その一連の動作の中で、思考は静かに立ち上がり、やがて輪郭を持ちはじめるように、古屋の実践はその過程の記録であり、不定形な運動をあらわす装置でもあるといえます。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。
古屋は絵画に関する制作を行っているのだが、いわゆる画家ではない。というのも、絵具や絵筆をつかって絵を描くのではなく──まさに今こうして絵画を言葉で表そうとしたときにも、その存在が無視されがちな──絵が描かれるもの(画布)に着目した制作を行っているのである。[…]画布を解くという──文字どおり、絵画の解体ないし解放というべき──実験は[…]専門分化した自律的な美術のありかたを疑う契機として、一人のアーティストのキャリアにおいてのみならず、現代美術全体の針路においても重要な制作であると言える。[…]出口のない迷宮から脱出する方法のひとつは、入口まで戻ることである。古屋が「画布」を解いて紡いだ糸は、まさに近代の行き止まりから帰還するための「アリアドネの糸」ではないだろうか。
『文学+』画布を解く―絵画再生の糸口
飯盛希(美術批評家)
古屋湖都美 | キャンバスノッツふいに
会期|2025年6月10日(火)- 21日(土)
14:00 – 19:00
日月祝休み
主催・ディレクション|THE POOL
キュレーション|飯盛希(美術批評家)
■ギャラリートーク
作家とキュレーターによるギャラリートークを開催します。
どなたでもぜひご来場ください。
参加者|古屋湖都美、飯盛希
日時|6/14(土)18:00〜 500円(ドリンク付き)
会場|THE POOL
古屋湖都美 FURUYA Kotomi
1997 東京生まれ
2022 東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻領域 卒業
2024 東京造形大学大学院造形研究科造形専攻美術研究領域 修了
おもな個展
2024 「イトノウエノイト」( JINEN GALLERY、東京 )
2023 「指を折って、ひとつを数える」(JINEN GALLERY、東京)
2022 「トラバースで向かう」(JINEN GALLERY、東京)
おもなグループ展
2025 「Detour | サカイケイタ+古屋湖都美」(msb gallery 、東京)
2024 「末永史尚企画|千原真実 古屋湖都美 光藤雄介|トレース何か」(See Saw gallery + hibit、愛知)
2024 「Neither」(Marco Gallery、大阪)
2023 「NUNO 5つの現代テキスタイルアート」(Bunkamura Gallery 8/ 、東京)
2023 古屋湖都美•まるやまさとわ二人展「再三再四メモリ」(下北沢アーツ、東京)
飯盛希 ISAKARI Mare
1990年生まれ。 福岡県出身。東京都在住。 専門は美術批評。 東京大学教養学部 超域文化科学科 卒業。
東京大学大学院 総合文化研究科 超域文化科学専攻 修了。
http://ngmrsk.jp/